- 2017年02月26日
- くすのきカイロプラクティックオフィス
- 腕・手指の症状
いつも月に一度、体のメンテナンスに来てくださっている患者さんが、先日、手首の痛みを訴えて来院されました。
少し前から小指側の手首に痛みがあり、その日の午前中に整形外科を受診されたそうです。
そこで診断されたのが、TFCC損傷でした。
TFCCとは、手首の小指側にある軟骨や靱帯などからなる組織で、手首を安定させたり、力を受け止めたりする役割があります。
整形外科では、できるだけ手首を使わず、安静にするよう説明を受けたそうです。
もちろん、TFCC損傷と診断されて手首に痛みが出ている以上、まずは医師の指示に従い、傷めている部分へ余計な負担をかけないことが大切です。
ただ、私は患者さんのお話を聞きながら、もう一つ気になることがありました。
その方は、とてもよく書き物をされる方なのです。
手帳を見ると、予定や記録がびっしり。
日常的にかなり手を使っていることが分かります。
そこで私は、痛みのある手首だけではなく、その手首を動かしている前腕の筋肉も確認してみることにしました。
手首を動かしている筋肉の多くは前腕にあります
私たちは普段、「手首が痛い」と感じると、どうしても手首そのものに原因があると考えがちです。
しかし、手首や指を動かしている筋肉の多くは、前腕にあります。
前腕にある筋肉から腱が伸び、手首を越えて手や指につながっています。
そのため、書き物やパソコン作業、家事などで手を繰り返し使えば、手首だけではなく前腕の筋肉も働き続けます。
そして、このような負担が長期間続けば、前腕の筋肉の深部にもコリが形成され、蓄積していきます。
今回の患者さんの前腕を確認すると、小指側の手首から肘へつながるあたりの筋肉がかなり強くこわばっていました。
さらに肘に近い部分を押すと、
「そこを押されると、手首の痛いところまで響きます」
という反応がありました。
そこで私は、整形外科で診断されたTFCC損傷とは別に、前腕の筋肉の強い緊張も、現在感じている痛みに関係している可能性があると考えました。
今回は手首を強く触りませんでした
TFCC損傷と診断されたばかりですから、痛みのある手首を直接強く施術することはしませんでした。
今回、私が中心に施術したのは前腕です。
長年の書き物などによって負担が蓄積していると考えられる筋肉を確認しながら、強くこわばっている部分を少しずつ緩めていきました。
すると施術後、
手首の痛みがかなり軽くなりました。
もちろん、これはTFCC損傷そのものが一回の施術で治ったという意味ではありません。
傷めている組織の状態と、周囲の筋肉によって感じている痛みは分けて考える必要があります。
今回、前腕を施術した直後に手首の痛みが軽くなったことからも、この患者さんの場合は、前腕の筋肉の状態も痛みに関係していた可能性が高いのではないかと私は考えています。
長年使ってきた筋肉なら、一回ですべてを変えようとしません
今回の患者さんは、長年にわたって非常によく書き物をされてきました。
つまり、前腕への負担も最近始まったものではありません。
長期間にわたって同じ筋肉へ負担がかかり続ければ、その深部にはコリが蓄積していきます。
私は、そうして何年もかけて蓄積したコリを、一度の施術ですべて取り除こうとは考えていません。
痛みの状態を見ながら、日常生活での負担を減らし、深部に蓄積したコリを少しずつ取り除いていく。
その方が筋肉への余計な刺激も少なく、体の状態を確認しながら進めることができます。
特に今回はTFCC損傷と診断されていますから、手首そのものについては整形外科の指示を守りながら経過を見ることが大切です。
テニス肘でも、痛む場所だけを見ません
これは手首だけの話ではありません。
以前、テニス肘と診断された患者さんが来院されたことがあります。
その方は肘の外側に痛みがありました。
しかし前腕を確認していくと、深い部分にかなり強いコリがありました。
そこで、痛みのある肘だけを施術するのではなく、前腕の筋肉を中心に施術しました。
すると、完全に痛みがなくなったわけではありませんが、施術後にはかなり楽になりました。
テニス肘の場合も、肘の外側に付着する前腕の筋肉や腱が関係しています。
ですから私は、肘が痛いからといって肘だけを見るのではなく、そこにつながっている前腕の筋肉まで確認することを大切にしています。
腱鞘炎やばね指にも共通する考え方です
以前このブログで、腱鞘炎やばね指についても書きました。
これらの症状でも、私は痛みや引っかかりが出ている場所だけではなく、前腕から手につながる筋肉の状態を確認します。
TFCC損傷、テニス肘、腱鞘炎、ばね指は、それぞれ別の状態です。
もちろん、すべてを「前腕のコリが原因」と一括りにすることはできません。
ただ、共通しているのは、手や指、手首を動かすために前腕の筋肉が毎日働いているということです。
そのため私は、手首や肘、指の症状を見る時には、痛みのある場所だけでなく、
「その場所を動かしている筋肉はどうなっているのか」
というところまで見るようにしています。
診断名がついていても、痛む場所だけを見るとは限りません
整形外科で検査を受け、診断をつけてもらうことはとても大切です。
骨折なのか。
靱帯などを傷めているのか。
関節に問題があるのか。
こうしたことを確認するのは医療機関の役割です。
そして私は整体師ですから、その診断を否定する立場ではありません。
むしろ、今回のようにTFCC損傷と診断されていれば、「傷めている手首を無理に触らない」という判断をするためにも重要な情報になります。
そのうえで、私は筋肉を見ます。
手首が痛いなら、手首を動かしている前腕まで。
肘が痛いなら、肘につながっている筋肉まで。
指が痛いなら、指を動かしている筋肉まで。
痛む場所だけではなく、その動きを支えている筋肉までたどっていく。
これは、私が約30年間の施術経験の中で大切にしてきた考え方です。

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