雑談コラム

歌舞伎をド直球に解説してみた【第2回】〜知らなきゃ謎すぎる「5つのルール」〜

前回は歌舞伎の正体が「化け物(なんでも飲み込むエンタメ)」だというお話をしました。

今回は、歌舞伎を観るにあたって**「絶対に知っておいた方がいいお約束(ルール)」**をいくつかご紹介します。

これらを知らずに観ると、劇場で「えっ、何これ?」「なんじゃこりゃ…」とポカンとしてしまうのですが、ルールが分かると一気に面白くなりますよ!

スポーツも、ルールを知らないで観たら何が凄いのかサッパリ分からないのと同じですね。

 

① 顔のグラフィックで「一発でネタバレ」している

歌舞伎のメイク(化粧)は、ただ目立つために白塗りをしているわけではありません。実は、顔を見ただけでそのキャラクターの役割が大体分かるようになっています。

 ベースの肌色: 「白塗り」は善人(いい人)。「茶色い化粧」は悪人。

 隈取り(くまどり): 血管や筋肉を強調したあのド派手なライン。「赤い隈取り」は正義のヒーローで、**「青い隈取り」は冷酷なダークヒーロー(大悪人)**です。

分かりやすく映画『スター・ウォーズ』に例えるなら、赤い隈取りは「ジェダイ」で、青い隈取りは「シス」ってことですね(笑)。(余計にややこしくなったらごめんなさい!大体合ってます!笑)

https://youtu.be/_AetkKrnV2g?si=2IXjkUQIARtZ9Gbg

 

② 花道の穴「すっぽん」から出るのは、人間じゃない!?

歌舞伎といえば、客席を縦断するステージ「花道(はなみち)」が有名ですよね。これが劇空間を立体的に見せる最高の演出効果を発揮しています。

この花道の、舞台寄りの場所(七三の位置)に、床下から役者がせり上がってくる正方形の小さな穴があるのをご存知ですか?

あれを**「すっぽん」と呼ぶのですが、実は歌舞伎界には「すっぽんから登場する役は、人間ではない」**という超重要ルールがあります。

妖怪、化け物、幽霊、あるいは何かの妖精や精霊……。

映画『国宝』の中でも、吉沢亮と横浜流星が演じた「二人道成寺(ににんどうじょうじ)」の場面で、ここから上がっていったのを覚えているでしょうか?

あの瞬間、観客には**「いま上がってきた白拍子花子は、ただの可愛い女の子じゃない(=人間ではない何かだぞ…)」**という裏設定が1秒で伝わっているんです。だからこそ、物語のラストで激しい執念から「蛇(大蛇)」に変身して鐘に登る、あの鳥肌もののクライマックスに繋がっていくわけです。シブいですよね……!

https://youtu.be/GPDeY3nNmSM?si=mWFInBLmKkmdJJ17

 

③ 「ドンドンドンドン…」という太鼓は、実は「風」

お芝居の途中で、舞台がちょっと薄暗くなった時などに、裏方から「ドンドンドンドンドンドン……」と低く響く太鼓の音が聞こえてくることがあります。

これは**「風の音」**を表しています。

あの音が鳴り響いたら、観客は頭の中で「あぁ、今は風がビュービュー吹き荒れる、不気味な夜なんだな」と脳内変換すればOKです。歌舞伎は、音ひとつで大自然の景色まで表現しちゃうんです。

 

④ 急にスローモーションになる「だんまり」

歌舞伎には**「だんまり」**という独特の表現方法があります。

それまで普通に動いていた役者さんたちが、突然めちゃくちゃゆっくりな動き(スローモーション)になり、お互いに手で「お、お前は誰だ…?」と探り合うような不思議なポーズを取り始めます。

これ、実は**「舞台の上は、街灯ひとつない真っ暗闇」**という設定なんです。

本当は照明が当たって明るいのですが、「客席からは見えているけど、登場人物たちには1ミリも周りが見えていないリアルな暗闇」を、あえて様式美としてゆっくり動くことで表現しています。

これを知らないと、「え、みんな急にどうしたの?😂」って話になっちゃいますよね。

 

⑤ 時間と空間の支配者になれる

歌舞伎の世界では、時間の流れもアインシュタインの相対性理論ばりに自由自在です。

 ・花道を一歩歩くだけで、実際には「数キロメートル」進んでいる。

 ・花道をトボトボ歩いている数秒の間に、作中では「何日も」経過している。

 ・役者が「見得(みえ)」を切ってビシッと止まっている間は、世界の「時間がストップ」している。

観客もそのルールを分かって観ているので、誰も「いや、そんなのおかしいだろ!」なんて野暮なツッコミは入れません(合意の上のファンタジーです!笑)。

 

どうでしょう。最低限このあたりの「お約束」を頭に入れておくだけでも、次に歌舞伎を観るときの見え方が180度変わる気がしませんか?

ルールを知れば知るほど、歌舞伎って決して堅苦しい高尚なものではなく、むしろ観客のイマジネーションを刺激してくれる、すごく親しみやすいエンタメなんです😊

次回はいよいよ、歌舞伎の最大の特徴であり、映画『国宝』の核でもある**「女方(おんながた)の成り立ちと存在意義」**について、ド直球に解説したいと思います。男が女性を演じる、その本当の凄さとは……?

どうぞお楽しみに!

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