- 2026年10月07日
- くすのきカイロプラクティックオフィス
- 腕・手指の症状
出産後の患者さんから、
「授乳をするようになってから、手首が痛くなったんです」
と相談されることがあります。
育児中は赤ちゃんを抱っこする機会が多いため、手首に負担がかかるのは何となく想像できると思います。
でも、実際に体を診てみると、私が気になるのは痛みが出ている手首だけではありません。
むしろ私がよく確認するのは、
前腕の筋肉です。
授乳中、赤ちゃんの頭をどう支えていますか?
授乳している時の姿勢を思い浮かべてみてください。
赤ちゃんの頭を手で支えながら、同じ姿勢をしばらく続けます。
赤ちゃんの頭は小さいとはいえ、ずっと支えていれば当然重さがあります。
しかも授乳は一日に一度ではありません。
毎日、何度も繰り返します。
この時、手首だけが頑張っているわけではありません。
赤ちゃんの頭を安定させるために、手首から肘につながる前腕の筋肉が働き続けています。
さらに、赤ちゃんの頭を落とさないように支えなければならないので、腕を自由に動かしているわけではありません。
同じ位置で支え続ける。
私は、この**「筋肉を使いながら固定する」**という状態が、前腕にとってかなり大きな負担になると考えています。
筋肉は動かす時だけ使っているわけではありません
筋肉というと、
「物を持ち上げる」
「腕を曲げる」
といった動作をする時に使うものだと思われがちです。
でも、同じ姿勢を保つためにも筋肉は働いています。
むしろ、筋肉を動かしながら使うより、力を入れたまま同じ状態で長時間固定する方が、コリにつながりやすいと私は考えています。
授乳では、赤ちゃんの頭を支えるために前腕の筋肉へ力を入れた状態が続きます。
それを毎日何度も繰り返しているうちに、前腕の筋肉がだんだん硬くなってきます。
そして、その状態でさらに授乳を続ければ、前腕の筋肉にコリが形成され、少しずつ蓄積していきます。
痛いのは手首。でも前腕がかなり硬くなっている
授乳中の手首の痛みを訴える方の前腕を触ってみると、
「ずいぶん硬くなっているな」
と感じることがあります。
本人が痛いのは手首です。
ですから当然、
「手首を痛めた」
と思います。
でも、手や指、手首を動かしている筋肉の多くは前腕にあります。
そのため私は、手首に痛みが出ている場合でも、痛い場所だけではなく、その動きを支えている前腕の筋肉まで確認することが大切だと考えています。
前腕を施術すると、手首の痛みがすぐ変わることがあります
私の施術では、こうした方の硬くなった前腕の筋肉を緩めていきます。
すると、手首そのものを中心に施術しなくても、その場で手首の痛みが消えるケースをこれまで何度も経験してきました。
これは授乳による手首の痛みの一つの特徴だと私は感じています。
なぜ比較的早く変化するのでしょうか。
私は、筋肉が固まってからの年月がまだ短いことが大きいと考えています。
コリは「どのくらい硬いか」だけではありません
私は約30年間施術をしてきて、コリを見る時にとても大切にしていることがあります。
それは、
「その筋肉が硬くなってから、どのくらい時間が経っているのか」
ということです。
例えば、何十年も肩こりを抱えてきた方の場合、筋肉の深部には長年のコリが蓄積しています。
こうした筋肉は、一度の施術ですべてのコリを取り除くことはできません。
一方、授乳によって前腕が硬くなった場合は、まだ固まってからそれほど長い年月が経っていないことが多くあります。
そのため、コリも比較的取れやすく、前腕が緩むことで手首の痛みも早く変化しやすいと私は感じています。
同じ「コリ」でも、
何年、何十年と固まっていた筋肉と、最近固まり始めた筋肉では、取れ方が違う。
これは長年施術をしていて強く感じることの一つです。
ただし、授乳を続ければまた痛くなることがあります
ここで大切なのが、
「一度痛みが消えたから、もう大丈夫」
というわけではないことです。
授乳はその日で終わるわけではありません。
翌日も、その次の日も赤ちゃんの頭を支えます。
すると、せっかく緩んだ前腕の筋肉にも、再び同じ負担がかかります。
そして前腕がまた固まってくれば、手首の痛みも再び出てきます。
これは施術が元に戻ったというより、同じ負担が毎日繰り返されることで、新たに筋肉が固まってくると私は考えています。
だから授乳を続けている期間は、手首だけを見るのではなく、前腕に負担を溜め続けないことも大切です。
痛い場所だけを見ると、分からないことがあります
手首が痛ければ、どうしても手首に目が行きます。
でも、体は一つの場所だけで動いているわけではありません。
手首を動かしている筋肉。
指を動かしている筋肉。
赤ちゃんの頭を支えている筋肉。
その多くが前腕につながっています。
だから私は、痛みが出ている場所だけではなく、
「その場所を動かし、支えている筋肉はどこなのか?」
というところまで考えて体を見るようにしています。
授乳中に手首が痛くなった方も、痛い手首だけではなく、一度自分の前腕を触ってみてください。
思っていた以上に硬くなっているかもしれません。

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