慢性腰痛と急性腰痛(ぎっくり腰)
一口に腰痛と言ってもさまざまなものがあります。
いわゆる病院で診断される「椎間板ヘルニア」や「脊柱間狭窄症」、「すべり症」等ではなく、ここでは一般的な腰痛と言える「慢性腰痛」と「急性腰痛」について、その原因と対処法を書いていきたいと思います。
これを読んで頂くと同じ腰痛と言っても対処法が全く異なるものだというのがご理解いただけるのではないでしょうか。
<慢性腰痛>
疲労性の腰痛という言う方がピンとくるでしょうか。
疲れがたまって腰の筋肉が硬くなり鈍痛を起こすもので腰が凝っている状態と言い換えてもいいでしょう。
コリというのは蓄積します。
最初は「腰が少し重いなぁ」と感じても一晩寝ると違和感が消えている。
そういうことがしばらく続いていきます。
ただ、一晩寝て楽になったからといってコリが取れているわけではなく、感覚的に楽になっているだけで凝っている状態に変わりはありません。
筋肉に余裕があるうちは、一晩寝れば楽になるということが続きますが、コリが蓄積し筋肉に余裕が無くなってきてしまうと常に腰が重い状態に、さらに鈍痛へと変わっていきます。
どのような原因で慢性腰痛になっていくのでしょう?
一般的には長時間の立位や座位によってです。
長時間立っている事により腰周りの筋肉は緊張し、それが筋肉に負担をかけ腰痛へと移行していきます。
その際、重たいものを持っていたり、子供を抱っこしていたりすればさらに負担が強くなります。
ハイヒールなどを履いてのソリ腰なども原因の一つです。
逆に歩いたり、適度な運動は腰にはいいのです。
座位では、やはり座り方でしょう。
基本的に床に座るのは腰には決してよくありません。
あぐらにしても横座りにしても腰が丸まってしまい腰の下部に負担がかかってしまいます。
正座は腰も伸び腰への負担が軽いという言い方もできますが、膝への負担が大きいためお薦めできません。
一番良いのは椅子に座るということでしょうが、椅子にも座り方があって深めに腰掛けなければいけません。
悪い椅子への座り方は、浅く腰掛けて背もたれにもたれかかるというものです。
浅く腰掛けもたれかかることにより、上半身の重さがモロに腰の下部にかかってくるため、腰の下部に疲労が蓄積してしまうのです。
その状態を放置していくと、慢性腰痛になっていきます。
慢性腰痛になると常に腰が重い、痛いという感覚がありますが一つ特徴的なのが朝起きて腰が痛いということです。
もちろん、一日仕事をして夕方から夜にかけて痛みが出るいうこともありますが、慢性的に朝痛みが増しているということが多く見受けられるのです。
なぜかというと寝ている時の人の体は血流が悪い状態です。
それでなくても筋肉が凝って血流が悪くなっている人が朝方さらに血流が悪くなり痛みが増してしまうのです。
ただ、この朝方の腰の痛みは時間と共に薄れていきます。
朝、腰のハリが増していたとしても動いているうちに血流がよくなり、腰のハリが多少緩和するためです。
では、このような慢性腰痛はどのように対処していけばいいのでしょう。
よく湿布薬を張る方もいますが、血流が悪くなっている状態で湿布薬を張っても冷たい感覚(気化熱)で楽になった感じも多少はあるでしょうが、やはり血流をよくしてあげなければ違和感は本質的には消えていきません。
一番簡単にできるのは、温めることです。
具体的には使い捨てカイロを腰に張ったりゆっくりお風呂で温めるといいでしょう。
ただ、腰が固まっている状態で使い捨てカイロやストレッチをしても蓄積してしまっている筋肉はほぐれません。
温めても表面的に多少血流がよくなるだけですし、ストレッチでも固まっている筋肉は伸びず、その周りの柔軟性のある筋肉が伸びてしまいます。
蓄積してしまった筋肉を元の柔軟性のある筋肉に戻すには強制的にコリを取り除くしか方法がないのです。
<急性腰痛>
急性腰痛という言い方はあまりしませんね。
一般には「ぎっくり腰」ということになるでしょう。
慢性腰痛と違うところは、鈍痛ではなく突然急激な痛みが襲ってきてひどい場合は立ち上がることも困難になってしまいます。
では、ぎっくり腰はどのような時に起こすのでしょう?
基本的には腰が疲れている時です。
しかも、朝方ぎっくり腰を起こすことが多いのです。
それはなぜかと言いますと、慢性腰痛でもお話した通り朝腰は張っている状態になります。
腰が疲れていて朝張りが増している状態の時に上半身の重みが加わるとぎっくり腰を起こしてしまうのです。
朝起こすぎっくり腰は、顔を洗っていた時とかリモコンを取ろうとちょと腰を浮かせた拍子などちょっとしたことで起こしてしまいます。
それだけ、腰が張っている時の上半身の重みは腰への負担になってしまうのです。
もちろん、午後にぎっくり腰を起こすケースもあります。
そういう場合は大方重たいものを持った拍子に起こします。
そもそも、ぎっくり腰とはどのようなものなのでしょうか?
よく、整体屋さんが腰の骨のズレがぎっくり腰だということを言っているという話も聞いたりしますが、そのようなものではありません。
簡単にいうと、寝違えが腰に起こったと考えるとわかりやすいと思います。
基本的には筋肉を傷めてしまいその際に炎症が起こりその炎症がひどくなることにより痛みが増していきます。
では、どのように対処すればいいのでしょう?
疲労性腰痛では、血流を良くするため温めました。
しかし、ぎっくり腰は冷やさなければなりません。
腰は炎症を起こし、熱を持っているわけですから温めると痛みが増していきます。
だいたい、ぎっくり腰をこじらせるのは腰が痛いということで温めてしまったときです。
ぎっくり腰を起こし、その場で動けなるというのは実はマレで徐々に痛みが増し、翌朝に痛みのピークが来ることが多いのです。
温めてしまうと、朝起きて動けないということになりかねません。
アイスノンなどできちんと冷やす対応をすれば翌朝動けないということは回避できると思います。
もちろん、お風呂にも入らずせめてシャワーくらいにしておいた方が良いと思います。
ぎっくり腰の怖いところは、癖になったり慢性腰痛に移行してしまうことが多いことです。
炎症期の急激な痛みが消えてしまうと治ったと思いその後何もしない人が多いですが、一度ぎっくり腰を起こしてしまうとその場所の筋肉は固まってしまいます。
筋肉が固まるわけですから、常に重く感じたり、朝にぎっくり腰を起こすリスクが高くなってしまうのです。
慢性腰痛にしてもぎっくり腰にしても、腰に疲れをためこまないということが最大の予防なのです。