肩こりで悩んでいる方に思い出していただきたいのですが、このような経験はありませんでしたか?
「以前は肩こりが出ても、一晩寝れば楽になっていたのに段々肩こり感が取れなくなってきた。」
実はこの一晩寝れば改善するというのが肩こり症への第一歩なのです。
一晩寝ればコリ感がなくなるというのは、決してコリが取れているわけではなく、感覚的に楽になっているに過ぎないのです。
このように一晩寝れば改善する状態を肩こりの初期段階とここでは仮定しますが、この肩こりの初期段階をそのまま放置しておくことにより、こりは段々蓄積していきます。
初期段階では表面的な肩こりに過ぎないのですが、この状態を放置し日々蓄積していくことにより、筋肉は表面だけではなく深部から固まっていきます。
そして、ある一定段階を超えると常に肩こり感が抜けなくなってしまいます。
つまり、筋肉に余裕がなくなってしまうわけです。
それでは、どのくらいの期間で深部から固まってしまうのでしょう。
私の経験値では数年前までは働きだして4~5年というところでした。
22歳で働き出したとして26,27歳で肩こりが強くなっていたわけです。
しかし、最近のオフィスのOA化やライフスタイルの変化などにより早い方では1~2年で強い肩こりを訴える方も見受けられるようになりました。
それでは、どのように改善していけばいいのでしょうか。
初期段階ではウォーキングなどの有酸素運動やストレッチなども有効なのですが、こりが固まってしまった状態では深部に芯のように硬くなった部分ができ、それがあるがゆえにストレッチなどで表面的にこりを取ったとしてもまたすぐにこり感が戻ってしまうのです。
結局のところ肩こり症になってしまった場合には、深部からこりを強制的に取り除き筋肉をリセットされた状態に戻すという体質改善を図るしかないのです。
そもそも肩こりはどのようなことをすると起こりやすいのでしょう。
パソコン、手芸、ゲーム、事務仕事、ピアノ等
また緊張やストレス、寒さ、風邪をひいても起こりやすくなります。
これらの例で共通して言えることは、それぞれの作業に集中することにより肩が上がってしまうということです。
端的に言うと力が入っているということです。
下の例でも緊張状態の持続やストレス、寒さに関しては肩をすぼめる等、力が入っているということが言えるますが風邪は別な条件で血行不良が起こっていると言っていいと思います。
多くの人がこれらの理由で肩こりを起こしていますが、なぜ力を入れると肩こりが起こるのでしょう。
その答えは筋肉の強さと継続時間にあります。
例えばパソコンによる肩こりは右肩へのこりが顕著に現れますが、これはマウス等を使うことにより右肩に力が入り、徐々に肩が上がり、長時間継続的に肩に力が入った状態が続くことによります。
この場合筋力が強いと多少力が入った状態が長時間続いてもカバーできるのですが、弱いと早い段階で肩こりとしての症状が出てきます。
*男性よりも女性に肩こりが多いのはこのためです。
ここで疑問を持たれる方がいるかもしれません。
バーベル等持ち上げる人も肩に力が入っているのではないかと。
筋肉は伸縮することにより心肺機能を高め、ポンプ作用を促し、血行をよくしますが、継続的に同一姿勢で力が入ることにより血管は収縮され、血液の流れが阻害されやすくなるという違いがあります。
つまり動かせば血行はよくなるのです。
とはいっても、肩周りの筋力の強弱や、骨格、姿勢などによりこりの出やすさには個人差もありますが、予防としてただ一つ言えることはあまり物事に長時間集中せず、1時間に1度は休息を入れるということではないでしょうか。
*パソコン等の普及により男性の肩こりも急速に増えています。また、子供の体力
低下や世の中のIT化にさらに拍車がかかれば、肩こりで悩まれる方は急速な勢い
で増えるのではないでしょうか。
初期の肩こりから肩こり症に移行して、ある一定の時間が過ぎると、今度は本当につらかった肩こりそのものを感じなくなってしまいます。
その肩こりをおこしている本人とすればつらい肩こりを感じなくてよいのでしょうが、体は正直なものでそうはいきません。
この肩こりを感じないというのはあくまでも感覚が鈍化しているにすぎず、肩が固まっている状態に変化はないのです。
しかも、肩だけにとどまらず、背中や首まで固まっていきます。
この状態が長く続くと間違いなく2次的症状が起こってきます。
その2次的症状の代表的なものに腕のシビレや頭痛、めまいなどがあげられますが、これは肩だけではなく首や背中との関連から引き起こされると考えてください。
(感覚がなくなるというところまでいかない人でもこの2次的症状が起こることはよくあります。)
また、面白いもので、肩こりの感覚がなくなっているため、そのシビレや頭痛がこりから起こっていると気がつかない人がほとんどなのです。
(ご自身が以前肩こり症だったことすら忘れている方もいます。)
このように肩が重症という人の治療にはまず、感覚を戻すところから始めなければならず、深部までこりを取っていくには通常よりも時間がかかってしまいます。
肩こりを感じた場合にはその初期段階に早めに治療院等に行き、処置してもらうことをおすすめします。そうすれば慢性肩こりへの移行は避けられるでしょう。
また、仮に慢性になっている方は感覚が鈍化する前に(2次的症状が発生する前に)早めに深部からこりを取り除くことです。