- 2020年10月10日
- くすのきカイロプラクティックオフィス
- 背中・腰の症状
ぎっくり腰を起こした時の対処法について、患者さんから聞かれることがよくあります。
以前にもこのテーマで記事を書いたことがありますが、今読み返すと、当時は「発症直後にどう対処するか」という部分に重点を置いていました。
もちろん、ぎっくり腰を起こした直後の対応は大切です。
ただ、約30年間患者さんの腰を見てきた現在は、ぎっくり腰は急性期が終わった後のケアこそ重要だと考えています。
痛みが引いたからといって、腰の状態まで元に戻っているとは限らないからです。
ぎっくり腰と慢性腰痛は同じではありません
慢性的な腰痛は、長時間同じ姿勢を続けたり、疲労をためたりすることで、腰やお尻の筋肉が少しずつ固くなり、重さや痛みが出てくることがあります。
一方、ぎっくり腰は、
- 朝、顔を洗おうとした時
- 床の物を取ろうとした時
- テレビのリモコンへ手を伸ばした時
- 立ち上がろうとした時
など、何気ない動作をきっかけに突然強い痛みが出ます。
私の臨床では、ぎっくり腰の直後には、筋肉やその周囲の組織を傷め、炎症を疑う反応が見られることが多いと感じています。
そのため、発症直後から深部を強く施術することはしていません。
まずは急性期の反応が落ち着くことが大切です。
発症直後は、無理をしないことが第一です
ぎっくり腰を起こした直後は、仕事や家事を無理に続けず、腰へ大きな負担をかける動作を避けてください。
特に、
- 重い物を持つ
- 中腰を繰り返す
- 痛みを我慢して強く伸ばす
- 無理に運動する
- 強く揉む
といったことは避けた方がよいでしょう。
ただし、「安静」といっても、何日間も寝たきりになる必要はありません。
トイレや食事など、痛みが強くならない範囲の日常動作は行いながら、無理な動きだけを控えるという考え方です。
冷やすか温めるかは、体の反応を見ます
発症直後に熱っぽさやズキズキする痛みがあり、冷やすと楽になる場合は、保冷剤をタオルで包み、10〜15分ほど当てる方法があります。
冷やし続けるのではなく、皮膚の状態を確認しながら短時間にしてください。
一方で、温めた方が楽に動ける方もいます。
そのため、すべてのぎっくり腰に対して、
「必ず3日間冷やす」
「お風呂は絶対に禁止」
と一律に決める必要はないと考えています。
ただし、発症直後に長風呂をしたり、熱い湯に無理に入ったりする必要はありません。
浴槽への出入りが不安な場合は、シャワーで済ませる方が安全です。
翌朝に痛みが強くなることがあります
ぎっくり腰は、痛めた瞬間よりも、その日の夜から翌朝にかけて痛みが強くなることがあります。
寝ている間に腰が動かず、起床時には筋肉がこわばっていることも影響します。
そのため、発症当日に無理をして動き続けると、翌朝さらに動きにくくなることがあります。
最初のうちは、
- 動作をゆっくり行う
- 寝返りや起き上がりで腰をひねらない
- 一気に立ち上がらない
- 痛みを我慢して動かない
ことを意識してください。
痛みが引いたら治った、ではありません
ぎっくり腰の強い痛みは、数日かけて少しずつ落ち着くことがあります。
この段階で多くの方は、
「もう治った」
と思います。
しかし、私はここが非常に重要だと考えています。
急性期の炎症が落ち着いても、傷めた場所やその周囲の筋肉が、深部で固まった状態のまま残ることがあるからです。
痛みは軽くなっても、
- 腰が重い
- 前屈がしにくい
- 朝だけ腰が固い
- 長時間座ると張る
- また同じ動作で痛めそうな不安がある
という状態が残ることがあります。
この固まった状態を放置すると、慢性腰痛へ移行したり、再びぎっくり腰を起こしたりする一因になると、私は考えています。
ぎっくり腰を繰り返す方には共通点があります
ぎっくり腰を何度も繰り返す方の腰を触ると、痛みがない時でも深部の筋肉が強く固まっていることがあります。
一度目のぎっくり腰の後に、強い痛みだけが引き、そのままにしてしまう。
すると腰の柔軟性が十分に戻らないまま、仕事や家事を再開することになります。
その状態で疲労が重なったり、不意に体を動かしたりすると、再び痛めやすくなります。
最初は数年に一度だったものが、
- 年に一度
- 数か月に一度
- 少し疲れるたびに不安になる
という状態へ変わっていく方もいます。
「ぎっくり腰は癖になる」と言われる理由の一つは、急性期の後に残った筋肉の硬さが十分に整えられていないことではないかと、私は考えています。
急性期が終わった後に、深部の筋肉を整える
私の施術では、ぎっくり腰の痛みが強い急性期に、無理に深部を刺激することはしません。
強い痛みや熱感が落ち着き、少しずつ動けるようになってから、腰やお尻の筋肉の状態を確認します。
そして、
- 傷めた場所の周囲
- かばって固くなった筋肉
- 腰を支えている臀部
- 深部に残った強いコリ
を丁寧に緩め、柔軟性を取り戻していきます。
私は最近、ぎっくり腰は急性期を乗り切るだけでなく、その後に残った深部の硬さを取ることが、慢性化や再発を防ぐために重要だと強く感じています。
炎症が落ち着く前に無理な施術をするのではありません。
急性期が終わった後だからこそ、固まった筋肉をしっかり整えるのです。
すぐに医療機関へ相談した方がよい症状
次のような症状がある場合は、単なるぎっくり腰と決めつけず、早めに医療機関へ相談してください。
- 足に強い力が入らない
- 両脚にしびれが広がる
- 尿や便が出にくい、または漏れる
- 股の周囲の感覚がおかしい
- 発熱や強い体調不良がある
- 転倒や事故の後に強い痛みが出た
- 痛みが急速に悪化している
また、痛みが長く続く場合も、一度きちんと検査を受けることが大切です。
ぎっくり腰は、その後のケアまでが対処です
ぎっくり腰を起こした直後は、無理をせず、急性期の反応が落ち着くのを待つ。
少し動けるようになったら、できる範囲で日常生活へ戻していく。
そして痛みが引いた後は、腰の深部に固まった筋肉を残さないように整える。
私は、この三段階が大切だと考えています。
痛みが引いた=腰が元の状態に戻った、ではありません。
ぎっくり腰を何度も繰り返している方や、その後から慢性的な腰痛が続いている方は、急性期が終わった後の腰の状態にも目を向けてみてください。

