- 2026年09月22日
- くすのきカイロプラクティックオフィス
- 腰痛
今日、腰痛で来院されている患者さんから、こんな質問を受けました。
「先生、子どもを抱っこしていると、どうして腰が痛くなるんですか?」
小さなお子さんがいるお母さんから、腰痛の相談を受けることは珍しくありません。
「子どもが重いから腰に負担がかかる」
もちろん、それも間違いではありません。
ただ、約30年間、多くの腰痛の患者さんを施術してきた私が、抱っこによる腰痛で特に気になるのは、
「子どもを抱く時の反り腰」
です。
腕の力だけで子どもを抱き続けるのは大変です
特に女性の場合、成長して重くなってきた子どもを、腕の力だけで長時間抱き続けるのは大変です。
そこで無意識に行っているのが、子どものお尻を自分の骨盤付近に乗せるようにして支える抱き方です。
こうすると腕だけで子どもの体重を支えなくて済むので、抱っこはかなり楽になります。
ところが、その代わりに起こりやすいのが反り腰です。
子どもの体重を前側で支えながらバランスを取ろうとすると、腰を反らせるような姿勢になりやすくなります。
一回の抱っこが数分なら、それほど大きな負担にはならないかもしれません。
しかし育児中の抱っこは、それが毎日続きます。
何十分も抱っこする。
一日に何度も抱っこする。
それを何か月、場合によっては何年も繰り返す。
このように反り腰の姿勢が長時間・長期間続けば、腰の筋肉には負担がかかり続けます。
そして、長期間の負担によって腰の深部にコリが形成され、それが少しずつ蓄積していく。
私は、これが抱っこによる腰痛の大きな原因の一つだと考えています。
なぜ左側で抱っこするお母さんが多いのでしょう?
施術をしていると、左側で子どもを抱いているというお母さんが多いように感じます。
これは左利きだからではありません。
むしろ、右利きだから左側で抱っこするのです。
左側で子どもを支えておけば、利き手である右手を自由に使えます。
ドアを開ける。
物を取る。
料理をする。
買い物をする。
育児中には、子どもを抱きながら何かをしなければならない場面がたくさんあります。
そのため自然と、
左側で抱っこする → 右手で作業する
という形になりやすいのでしょう。
しかし、毎日のように同じ側で子どもの体重を支えていれば、体への負担にも左右差が生まれます。
反り腰に加えて、腰や臀部などにも偏った負担が長期間かかり続けることになります。
「抱っこをしないでください」では解決になりません
では、腰痛を防ぐために子どもを抱っこしなければいいのでしょうか。
そんなことは育児中にはできませんよね。
そこで私がおすすめしたいのが、抱っこ用品を上手に使うことです。
子どもの体重を腕と腰だけで支えるのではなく、道具を使って負担を分散させる。
そうすることで、腰を大きく反らせて子どもの体重を骨盤に乗せ続ける姿勢を減らすことができます。
最近の抱っこ用品は、赤ちゃんをしっかり固定できるものが多く、腰への負担を減らすという意味では優れていると思います。
その一方で、かなり大きく、持ち歩くにはかさばるものもあります。
また、赤ちゃんと体が密着するタイプは安定感がありますが、夏場などは親子ともに暑く感じるでしょう。
そこで、今では以前ほど見かけなくなりましたが、私がもっと見直されてもいいと思っているのがスリングです。
スリングは肩への負担も分散しやすい
スリングは、大きな一枚の布を使って子どもを支えるシンプルな抱っこ用品です。
一時期かなり流行りました。
横抱きでは赤ちゃんの首が屈曲しやすいなど、姿勢に注意が必要ですが、ある程度成長した子どもを縦抱きで支えるために使うのであれば、とても便利な道具だと私は思っています。
私がスリングをいいと思う理由は、腰への負担だけではありません。
肩への負担を広い範囲に分散できることも大きな利点です。
細い紐状のものは、子どもの体重が狭い範囲に集中するため、長時間使っていると肩に食い込みやすくなります。
それを毎日のように繰り返していれば、今度は肩の筋肉に負担がかかり続け、深部にコリが蓄積して肩こりにつながります。
腰を守るために抱っこ用品を使ったのに、今度は肩がつらくなってしまったのでは困りますよね。
その点、スリングは肩の上で布を広く広げることができます。
子どもの重さを広い面で受けられるので、肩の一点に食い込みにくいのです。
私自身が使っていた「トンガ」も便利でした
もう一つ、私自身が子育てをしていた頃に使っていて、とても便利だったのが、**フランス生まれの「トンガ」**という抱っこ補助具です。
日本では以前ほど見かけなくなりましたが、現在でもフランスで使われている抱っこ用品です。
ネット状の布でできていて、子どものお尻を乗せる部分が広がるようになっています。
非常にコンパクトなので、使わない時には小さく畳んで持ち歩くことができます。
子どもを乗せたら、片手で背中を支える。
すると、もう片方の手を使うことができます。
私自身、子どもが小さかった頃にはずいぶん重宝しました。
また、トンガは子どもの体重を受ける部分が広がるため、細い紐状のものに比べて肩に食い込みにくいのも良いところだと思います。
最近のしっかりした抱っこ用品にももちろん良いところがありますが、腰や肩への負担、そして持ち運びやすさを考えると、スリングやトンガのようなシンプルな抱っこ用品も、もっと見直されてもいいのではないかと私は思っています。
抱っこによる腰痛は「今日の抱っこ」だけが原因ではありません
抱っこをして腰が痛くなると、
「昨日、長時間抱っこしたからかな?」
と思うかもしれません。
しかし、私が施術をする時に見るのは、その一日だけではありません。
毎日の抱っこで反り腰になる。
いつも同じ側で子どもを支える。
その姿勢を何か月も繰り返す。
そうした長期間の負担によって、腰の深部には少しずつコリが形成され、蓄積していきます。
そして筋肉の柔軟性や余裕が少なくなってきたところに、長時間の抱っこや何気ない動作が重なり、腰痛として現れる。
私はそのように考えています。
だからこそ大切なのは、
「腰が痛くなったから抱っこをやめる」ことではなく、「どうすれば腰を反らせ続けずに抱っこできるか」を考えること。
抱っこ紐やスリング、トンガなどの道具も上手に利用しながら、腰だけでなく肩にも負担を集中させないことが大切です。
子どもの抱っこは毎日のことです。
だからこそ、ちょっとした抱き方や道具の違いでも、それが何か月、何年と続けば、体への負担には大きな違いが出てくると私は考えています。
くすのきカイロプラクティックでは、痛みが出ている場所だけを見るのではなく、「なぜその筋肉に長期間負担がかかってきたのか」というところまで考えながら施術をしています。

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