くすのきカイロの院長ブログ

みんなに「観た?」って聞かれまくった映画「国宝」を、歌舞伎通が観てみたら……

このブログは1年前にインスタにアップした記事の再録です。

 

僕が歌舞伎好きなことを知っている人たちから、この1ヶ月間ずーーっと「『国宝』観た?」「『国宝』観た?」と聞かれ続けてきましたが……。

やっと観てきましたーー!😂(笑)

これまでなかなか観に行けなかったのには理由があって、実は先週、先々週と、映画じゃなくて本物の「歌舞伎座」に足を運んで、生の歌舞伎を観ていたからなんだけどね😁(贅沢な言い訳!)

映画を観終えての率直な感想は、とにかく**「吉沢亮くんと横浜流星くんが凄すぎる!!」**ということに尽きます。

劇中、場面場面とは言え、「鷺娘(さぎむすめ)」「藤娘(ふじむすめ)」「京鹿子娘道成寺(むすめどうじょうじ)」という、女方(おんながた)の最高峰とも言われる大曲が次々と登場します。これらは日本舞踊をしっかりと稽古しなければ、絶対に踊れない演目。

2人の踊りを見て、スクリーンから凄まじい「役者魂」を感じました。

もう一つ面白いなと思ったのは、この映画を「東宝」が製作したという点。

歌舞伎といえば「松竹」ですが、もし松竹が作っていたら、本物の歌舞伎役者を使ってキャスティングしていたかもしれないですよね。であれば、こんなに注目されなかった。東宝だからこそ、この布陣が実現したんだろうな。

劇中に出演している寺島しのぶさんがインタビューで「本当の歌舞伎の世界ではあり得ない」と言っていたけど、数年前の澤瀉屋(おもだかや)の一件などを見ても、リアルな歌舞伎界は「最後は血(血筋)」という厳しい現実があります。もしかしたら原作者の吉田修一氏も、歌舞伎界の様々な歴史や出来事からこの小説のアイディアを思いついたのかもしれないな、なんて想像してしまいました。

映画を観ながら、僕の頭の中では実際の歌舞伎界のいろんな出来事が駆け巡っていました。

澤瀉屋の騒動のあと、後ろ盾を失った現在の市川右團次(うだんじ)のこと。(当時の亀治郎が4代目猿之助を襲名し、実の息子の香川照之が市川中車として、孫は市川團子として歌舞伎役者になり、今の右團次の居場所がなくなった件。3代目猿之助の行為は右團次に取っては裏切り以外の何物でもない)

右團次は市川團十郎に拾ってもらった形になり、現在も舞台に上がっています。今年の7月も歌舞伎座で新歌舞伎十八番の演目を一曲踊るけど、後ろ盾がないといい役がつかない世界。生涯、團十郎には頭が上がらないでしょうね。

また、女方の大名跡「歌右衛門」の襲名数週間前に脳梗塞で倒れ歌右衛門を継げなくなった中村福助のこと、そしてその息子である児太郎の現在の苦悩(本来であれば児太郎は今頃福助を名乗っていたはず)。

成駒屋(なりこまや)の全員に、きっといろんな思いがあるはず。

一方で、強い後ろ盾がない中で這い上がってきた中村獅童や尾上松也のような存在もいます。彼らは映像(映画やドラマ)の世界で圧倒的な実績を積んで、松竹に実力を認めさせた部類です。(生前の勘三郎が、若い頃の獅童をよく大抜擢していたのも懐かしい!)

血筋の重み、隠し子のことなども含めて、この映画は歌舞伎界の「綺麗事だけじゃない率率な裏側」をリアルに描いていたと思います。

ちなみに、冒頭のシーンで主人公の2人が高校時代、学校帰りに稽古場に向かうくだりがありますが、それを見ながら

「今の市川團十郎と、新しく尾上菊五郎を襲名した2人(同い年で同じ学校に通っていた)も、若い頃はあんな風に一緒に稽古に行っていたのかなぁ」

なんて、ファンならではの妄想をしてニヤニヤしてしまいました。先日の8代目菊五郎襲名の口上でも、團十郎がそんな2人の思い出話をしていました。

この映画を観て、「本物の歌舞伎を直に観てみたい!」と思った人も多いんじゃないでしょうか?

断言します、実際の歌舞伎は、映画の100倍面白いです!😁

ちなみに、僕のスマホの待ち受け画面は、坂東玉三郎、尾上菊五郎、尾上菊之助の「三人道成寺」の写真です(笑)。

 

 

「でも、歌舞伎って難しそうだし、ルールが分からない……」という人のために!

次回以降の雑談ブログでは、**【院長流!ゆる〜く分かる歌舞伎の基礎講座】**を連載していこうと思います!

これを読めば、歌舞伎座に行くのがちょっと楽しみになるはず。ぜひお楽しみに!

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