目からうろこの整体コラム

ぎっくり腰は、痛みが引いてからが大切です

ぎっくり腰を起こした時の対処法について、患者さんから聞かれることがよくあります。

以前にもこのテーマで記事を書いたことがありますが、今読み返すと、当時は「発症直後にどう対処するか」という部分に重点を置いていました。

もちろん、ぎっくり腰を起こした直後の対応は大切です。

ただ、約30年間患者さんの腰を見てきた現在は、ぎっくり腰は急性期が終わった後のケアこそ重要だと考えています。

痛みが引いたからといって、腰の状態まで元に戻っているとは限らないからです。

 

ぎっくり腰と慢性腰痛は同じではありません

慢性的な腰痛では、仕事や家事、長時間の座り姿勢などによる負担が長期間続くことで、腰やお尻の筋肉の深部にコリが少しずつ蓄積していきます。

一方、ぎっくり腰は、

「朝、顔を洗おうとして前かがみになった時」

「床の物を取ろうとした時」

「靴下を履こうとした時」

「立ち上がろうとした時」

など、何気ない動作をきっかけに突然強い痛みが出ます。

しかし私は、その時の動作だけが原因ではないと考えています。

長年の負担によって腰やお尻の深部にコリが蓄積し、筋肉の柔軟性や余裕が少なくなっている。

そこへ前屈やひねりなどの動作が加わり、最後のきっかけとなって筋肉やその周囲の組織を傷める。

私は、ぎっくり腰の多くをこのように考えています。

ぎっくり腰の直後には、筋肉やその周囲の組織を傷め、炎症を疑う反応が見られることも多いため、発症直後から深部を強く施術することはしていません。

まずは急性期の反応が落ち着くことが大切です。

ぎっくり腰は朝に起こりやすい

約30年間患者さんを見ていると、ぎっくり腰を朝の時間帯に起こしたという方がとても多くいらっしゃいます。

「朝、顔を洗おうとして前かがみになった時」

「起きて靴下を履こうとした時」

「朝、床の物を取ろうとした時」

などです。

私は、これには朝という時間帯の体の状態も関係していると考えています。

睡眠中は長時間ほとんど体を動かしません。

そのため、起床時は日中に活動している時に比べて筋肉の血流が少なく、腰の筋肉も固まった状態になりやすくなります。

特に慢性的な腰痛がある方では、長年の負担によって、すでに腰やお尻の筋肉の深部にコリが蓄積しています。

そこへ睡眠中の長時間の不動が加わるため、朝起きた時には、さらに腰が固まった状態になりやすいのです。

実際、慢性腰痛の方から、

「朝起きた時が一番つらい」

「起きてしばらく動いていると楽になる」

という話をよく伺います。

体を動かし始めることで筋肉も動き、血流も増えてくるため、時間が経つにつれて腰が動かしやすくなっていきます。

逆に考えれば、起床直後は、慢性腰痛のある方にとって、ぎっくり腰を起こすリスクが高くなる時間帯だと私は考えています。

深部にコリが蓄積し、さらに朝で固まっている腰へ、前かがみやひねりなどの動作が加わる。

それが最後のきっかけとなって、ぎっくり腰を起こすのです。

そのため、慢性腰痛がある方や、ぎっくり腰を繰り返している方は、朝起きてすぐに深く前屈したり、腰を強くひねったりしないことも大切です。

まずはゆっくり起き上がり、少し体を動かしてから一日の動作に入るようにしてください。

発症直後は、無理をしないことが第一です

ぎっくり腰を起こした直後は、仕事や家事を無理に続けず、腰へ大きな負担をかける動作を避けてください。

特に、

  • 重い物を持つ
  • 中腰を繰り返す
  • 痛みを我慢して強く伸ばす
  • 無理に運動する
  • 強く揉む

といったことは避けた方がよいでしょう。

ただし、「安静」といっても、何日間も寝たきりになる必要はありません。

トイレや食事など、痛みが強くならない範囲の日常動作は行いながら、無理な動きだけを控えるという考え方です。

冷やすか温めるかは、体の反応を見ます

発症直後に熱っぽさやズキズキする痛みがあり、冷やすと楽になる場合は、保冷剤をタオルで包み、10〜15分ほど当てる方法があります。

冷やし続けるのではなく、皮膚の状態を確認しながら短時間にしてください。

一方で、温めた方が楽に動ける方もいます。

そのため、すべてのぎっくり腰に対して、

「必ず3日間冷やす」

「お風呂は絶対に禁止」

と一律に決める必要はないと考えています。

ただし、発症直後に長風呂をしたり、熱い湯に無理に入ったりする必要はありません。

浴槽への出入りが不安な場合は、シャワーで済ませる方が安全です。

翌朝に痛みが強くなることがあります

ぎっくり腰は、痛めた瞬間よりも、その日の夜から翌朝にかけて痛みが強くなることがあります。

傷めた組織の反応に加え、寝ている間は腰を動かす機会が少ないため、起床時には筋肉もこわばっています。

そのため、発症当日に無理をして動き続けると、翌朝さらに動きにくくなることがあります。

最初のうちは、動作をゆっくり行い、寝返りや起き上がりで腰を大きくひねったり、一気に立ち上がったりしないようにしてください。

「痛みが引いた=治った」ではありません

ぎっくり腰の強い痛みは、数日かけて少しずつ落ち着いていくことがあります。

この段階で多くの方は、

「もう治った」

と思います。

しかし、私はここからが非常に重要だと考えています。

急性期の炎症や強い痛みが落ち着いても、傷めた場所や、それをかばって働いた周囲の筋肉には硬さが残ります。

さらに、ぎっくり腰を起こす以前から深部に蓄積していたコリも、そのまま残っています。

つまり、

痛みがなくなったことと、腰の筋肉が元の良い状態へ戻ったことは同じではありません。

痛みは軽くなっても、

「腰が重い」

「前屈がしにくい」

「朝だけ腰が固い」

「長時間座ると張る」

「また同じ動作で痛めそうで怖い」

といった状態が残ることがあります。

私は、この状態をそのままにすることが、慢性腰痛やぎっくり腰の再発につながる一因になると考えています。

ぎっくり腰を繰り返す方の腰には特徴があります

約30年間施術をしていると、ぎっくり腰を何度も繰り返している方には、共通する特徴を感じます。

痛みがない時でも、腰やお尻の深部に強いコリが蓄積している方が非常に多いのです。

一度目のぎっくり腰の後、強い痛みだけが引き、そのままにしてしまう。

すると、筋肉の柔軟性が十分に戻らないまま、仕事や家事を再開することになります。

そこへ再び毎日の負担が積み重なり、深部のコリがさらに蓄積していく。

そして筋肉の余裕が少なくなったところで、何気ない動作をきっかけに再びぎっくり腰を起こす。

このような経過を、私は数多く見てきました。

最初は数年に一度だったものが、

「年に一度」

「数か月に一度」

「少し疲れるだけで腰に不安を感じる」

という状態へ変わっていく方もいます。

「ぎっくり腰は癖になる」と言われることがありますが、私は、ぎっくり腰そのものが癖になるというより、腰の深部にコリが残り、再び傷めやすい状態が続いていることが大きいと考えています。

急性期が終わった後に、深部の筋肉を整えます

当院では、ぎっくり腰の痛みが強い急性期に、無理に深部を刺激することはしません。

強い痛みや熱感が落ち着き、少しずつ動けるようになってから、腰やお尻の筋肉の状態を確認します。

そして、傷めた場所の周囲だけではなく、かばうことで固くなった筋肉、腰を支えている臀部、そしてぎっくり腰を起こす以前から深部に蓄積していたコリまで確認していきます。

ここが、私はとても大切だと考えています。

ぎっくり腰になって固くなった部分だけを見るのではありません。

なぜ、その腰がぎっくり腰を起こすところまで余裕を失っていたのか。

そこまで考えて筋肉の状態を整えていく必要があります。

私は約30年間の施術経験から、ぎっくり腰は急性期を乗り切って終わりではないと強く感じています。

炎症が落ち着く前に無理な施術をするのではありません。

急性期が終わった後だからこそ、腰やお尻の深部に残っているコリを少しずつ取り除き、筋肉の柔軟性を取り戻していく。

それが、慢性腰痛への移行や再発を防ぐうえで大切だと考えています。

すぐに医療機関へ相談した方がよい症状

次のような症状がある場合は、単なるぎっくり腰と決めつけず、早めに医療機関へ相談してください。

  • 足に強い力が入らない
  • 両脚にしびれが広がる
  • 尿や便が出にくい、または漏れる
  • 股の周囲の感覚がおかしい
  • 発熱や強い体調不良がある
  • 転倒や事故の後に強い痛みが出た
  • 痛みが急速に悪化している

また、強い痛みが長く続く場合も、一度きちんと検査を受けることが大切です。

ぎっくり腰は、その後のケアまでが対処です

ぎっくり腰を起こした直後は、無理をせず、急性期の反応が落ち着くのを待つ。

少し動けるようになったら、無理のない範囲で日常生活へ戻していく。

そして痛みが引いた後は、腰やお尻の深部に残っているコリを少しずつ取り除き、筋肉の柔軟性を取り戻していく。

私は、この三段階が大切だと考えています。

そして、ぎっくり腰を繰り返している方には、もう一つ覚えておいてほしいことがあります。

朝起きた直後は、腰が一日の中でも固まっている時間帯です。

特に慢性腰痛があり、すでに腰の深部にコリが蓄積している方では、朝はさらに腰に余裕がなくなっています。

顔を洗う、靴下を履く、床の物を取る。

そんな何気ない動作が最後のきっかけになることがあります。

痛みが引いた=腰が元の状態に戻った、ではありません。

ぎっくり腰を何度も繰り返している方や、その後から慢性的な腰痛が続いている方は、「痛みがなくなったから大丈夫」で終わらせず、急性期が終わった後の筋肉の状態にも目を向けてみてください。

 

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