- 2016年04月18日
- くすのきカイロプラクティックオフィス
よく患者さんに「歌舞伎って難しいんでしょ」とか「敷居が高そうですよね」なんて言われます。
僕が歌舞伎が好きなのをみなさんご存知なんでそんな質問をなさるんですが、はっきり言って歌舞伎は難しくありません。
難しかったら僕、観てませんから(笑)
歌舞伎の成り立ちを見れば難しくないのがわかります。
<庶民の芸能だよ>
古典芸能の中でも、能や狂言は室町の頃から特権階級の芸事として発達したものですよね。
これは確かに難しい!会社時代の友人が能をやっていたんで何回か観たことがありますが、毎回寝ちゃってました(笑)
さっぱりわからない。これは仕方がないと思うんですよ。僕たちは特権階級じゃなくて庶民だから(笑)
でも、歌舞伎の成り立ちって江戸時代の大衆演劇でしょ。難しいものなんて全くない!難しいものをわかりやすく歌舞伎化するわけですから。後ほど歌舞伎の種類を書きますが、大体が何か他の芸事の歌舞伎化です。
江戸時代の歌舞伎って朝から日没までやってたんですよね。だから芝居小屋でご飯も食べればおしゃべりもする。眠くなれば寝ちゃう。もう客の自由なんですよ。それを注目させようと思って役者が考えたのが誇張した隈取(くまどり)や見得なんです。
うるさいお客さんに注目してもらうために発達したものなんです。
そんな話を聞くと何か親近感がわきませんか?
その芝居小屋の名残は今でも歌舞伎座や演舞場に残っています。
普通、劇場って飲食禁止でしょ。でも、歌舞伎の場合は客席でお弁当を食べても飲み物飲んでも一切自由なんです。これってすごくありません?
それだけ庶民に開かれたものなんです。それは昔も今もです。
時々、服装を気にされる方もいらっしゃいます。何を着ていけばいいんですか?って。やっぱり着物ですか?って。
いえいえ、ラフな格好でいいんですよ。
ちなみに僕なんか夏は短パン、Tシャツですよ(笑)全然OKです。
<歌舞伎の種類>
歌舞伎って踊りがあったり、隈取して「ワァー」って言ってるのがあったりよくわからないって話も聞きます。
そりゃそうです。歌舞伎にはいっぱい種類があるから。
ちょっと、分類してみますね
・舞踊(踊りですね)
・時代物(江戸時代から見た時代劇、軍記物。文楽から歌舞伎化された義太夫物がということも出来る)
・世話物(町人の生活を題材にした江戸時代の現代劇。まあ、普通のお芝居ですね)
・松羽目物(後ろにでっかーい松の絵が書いてあるところでやる演目。能や狂言を歌舞伎化したもの)
・新歌舞伎(明治以後、より真実に沿った形で演じられた歌舞伎)
・スーパー歌舞伎(3代目猿之助が提唱した歌舞伎ケレンに特化した歌舞伎)
こんな感じでしょうか。
まあ、この中で江戸は荒事、上方は和事なんて分類もしたりしますがそれは別にいいんじゃないですか。
ね、上の分類を見てみると歌舞伎ってつかみどころがないでしょ。
なんでも歌舞伎にしちゃうんです。
文楽(義太夫)、能、狂言、その時代のトピック等なんでもです。
だから歌舞伎はなんでも飲み込んじゃう実体のない怪物のような演劇だと僕は思うんです。
<ファーストコンタクト>
なんでもそうなんですが、歌舞伎の場合は特にファーストコンタクトが大切だと思うんですよ。
どんな演目を最初に観るか。
それによって、歌舞伎が好きになるか嫌いになるか別れます。
とにかく最初は派手でわかりやすい演目。
地味で暗ーいのはやめた方がいい。寝ちゃうから(笑)
昼の部の1時半から2時頃なんて3分の1くらいのお客さんが寝てるんじゃないかな(笑)
大袈裟じゃなくてですよ。役者さんもよくあんな環境で芝居が出来るものだと思います。
初めての方に最適な演目が6月に歌舞伎座であります。
「義経千本桜」という義太夫物の名作なのですが、この1部と3部は初めての方が観てもとっても面白いと思います。
1部では最後、崖の上から碇もろ共後ろにダイブする「碇知盛」が見せ場としてありますし、3部の四の切は猿之助の宙乗りもありますから。
宙乗りってわかります?舞台から3階席まで飛んでいっちゃうんです。これって江戸時代からある手法なんですよ。ちなみに回り舞台や仏壇返しなんかもそうですね。せり上がりもね(笑)
とにかく最初は楽しい舞台を観ましょう!
<イヤホンガイドでしょう!>
役者のセリフが何を言っているのかわからない。義太夫や長唄が聞き取れないから行ってもわからないって思ってる方もいるかもしれません。
それこそ心配はいりません。松竹はちゃーんと対策を考えています。イヤホンガイドです。
役者のセリフや義太夫、長唄の節などをちゃんと説明してるんでよくわかります。
僕も歌舞伎を観始めた10年ほど前はこれのお世話になってました。
今ではほとんど聞き取れるのですが、初めての演目などは今でも利用することがあります。
これがあれば絶対に大丈夫です。
<まずは行ってみよう>
歌舞伎は値段が高いと思っている方も多いかもしれません。
そんなに高きゃ僕は毎月なんて行ってませんでしたよ。
僕はいつも3階席で観ます。安いからという理由だけじゃなくて3階席が好きなんです。舞台が全て見渡せるでしょ。
元NHKのアナウンサーの山川静雄さんも必ず3階でご覧になってますね。
初日に行けばだいたいいらっしゃるんで。
3階席はちなみに4000円です。生の舞台を11時から4時前まで4000円って安いと思いますせん?
あと、歌舞伎座には一幕見という制度もあるんでそれを使うのもいいかもしれませんね。ただ、イヤホンガイドは無いですけどね。
ここまでいろいろ書いてきましたが少しは興味を持ってもらいました?
僕は松竹の回し者ではありませんが(笑)、日本の伝統芸能と言いながら人口の1割程度しか実際に歌舞伎を観たことがなんです。
これで日本の伝統芸能と言えるんでしょうかねえ。
僕が歌舞伎を観始めた10年ほど前は劇場に行くと女性は若い方もいらっしゃいますが、男性は僕が一番若いんじゃないかという状況でした。
歳を重ねるとだんだん観てみようかなって思うんですかね。最近は50前後の僕の年代の方を見受けます。
でも、まだまだ年配の方が多いです。
街中を歩いていると僕は決して背の高い方ではありませんが、歌舞伎座に行くと頭一つ出てますから(笑)
昔も今も人間の本質は変わりませんので、訴えて来るものは不変です。ぜひ1度歌舞伎を楽しんでみてください。
何かわからなければ僕でよければなんでもお答えしますんで聞いてくださいね。