- 2016年03月05日
- くすのきカイロプラクティックオフィス
2月に読んだ本をまとめました。というか1月から「モンテクリスト伯」(全7巻)を読んできたので実質は1,2月に読んだ本ということになります。
これはみなさんご存じアレクサンドル・デュマの「モンテクリスト伯」です。
実は僕、本書は初読なんです。お恥ずかしい(*⌒∇⌒*)
「三銃士」と並ぶデュマの代表作。
知らない方も多いかもしれませんが日本で紹介されている「三銃士」は三部作の第一部に当たり序章に過ぎません。
僕は数年前全11巻からなる「ダルタニャン物語」も読みましたが、第一部の三銃士より第二部の「二十年後」の方が格段に面白い!もし、機会があったら読まれることをお勧めします。
「モンテクリスト伯」に戻りますが全7巻という大作ではありますが、とにかく飽きない。子供の頃「巌窟王」を読んだ人も多いと思いますがその完全版です。
「巌窟王」は僕も遥か昔に読みましたがその内容はこの7冊のうちのたった2冊で子供の頃に読んだものは何だったんだ‼って突っ込みたくなります(笑)
3巻目以降は復讐、復讐、復讐ということで伏線が巧妙になりめぐらされていくんですが、芸が細かく読者を飽きさせない。
当時、この小説は新聞連載だったそうで読者の興味を引っ張るということにもずいぶん気を使っているんだろうなあと思います。
ストーリーテラーであるデュマはあらゆる要素盛り込んできますが、やはり恋愛もその中の一つ。
序章はダンテスとメルセデス、中盤以降はヴィルフォールとマクシミリアンという具合。そしてエデの存在。
読者の興味をひく要素がふんだんに盛り込まれた娯楽小説の傑作だと思います。
とにかく面白かった‼
岩波の訳でずいぶん古いものではありますがとても読みやすく、岩波もそれはわかっているのか新訳は考えていないようで最近重版されたものは行間をあけた改訂版が出版されています。
新潮のstar classicsからの新訳。
チップス先生と生徒たちの交流を淡々と描く傑作。とても薄い本ですが心に残る本です。
映画で「陽のあたる教室」などがありましたがあのような感じです。
淡々と日常を描く映画と言えば「ドライビング・ミス・デイジー」がありますが僕の大好きな一本ですってそれは余談ですね(笑)
これはとても短い小説であっというまに読み終えてしまいますが、ふくらまそうとすればいくらでも膨らませることができる小説だと思います。
しかし、あえてしないのでしょうね。何代にもわたる生徒たちとの交流を具体的に細かく紹介していったらこの味は損なわれてしまうに違いありません。
僕が一番感銘を受けたのは89ページから91ページの退任のスピーチです。
恥ずかしながらブルガーコフという作家は全く知りませんでした。
今回star classicsからの新訳ということで知るに至ったのですがソビエト時代は発禁処分となっていたそうでペレストロイカ以降再評価をされたそうです。
本書は彼の中編2作品。
発想の面白さは「犬の心臓」。人の脳下垂体と睾丸を移植された犬が人間化していき名前を欲し、女性を欲し、人権を求め労働者階級と共鳴していくという物語。
もう一遍が「運命の卵」。「犬の心臓」もプロレタリアートとブルジョアとの皮肉や風刺が効いていたが、「運命の卵」さらに風刺が飛躍している。
僕がわかるだけでもずいぶんあるんですが、解説を読んでみるとここもあそこもという具合に皮肉や風刺のオンパレードになっておりその枠をも超えて体制への批判となっています。
また、ソビエト当時のロシアの生活を知る上でも面白い一冊。
スターリン自身が作家としてのブルガーコフを評価していたというのも面白いエピソードでしょうね。
2月23日には岩波から「春のリクエスト復刊」がありました。
33点40冊のリストを見て、涙が出そうになりました。
ディドロの「ラモーの甥」、ゾラの「ジェルミナール」全3冊、そしてお待ちかね、シラーの「群盗」が復刊されるのです。
売り切れになる前に買っておかなきゃ‼(^^)