- 2016年06月19日
- くすのきカイロプラクティックオフィス
5月に読んだ本をまとめました。
5月は村上柴田翻訳堂の新刊を3冊と以前から読みたかったスタンダールの「赤と黒」を読みました。しかも「赤と黒」は噂の光文社版です!
ホントに簡単な感想で申し訳ないのですが、よかったら本を読む参考になさってください。
大人でもない子供でもない12歳の女の子の心理を年長の黒人料理人ベレニス、年下のいとこジョン・ヘンリーとの対話を通して掘り下げていくのが実にうまい。
多感な時期だとは思うけど12歳の女の子ってそんな行動をとるの?そんな風に考えてるの?12歳当時の自分を思い浮かべてもびっくりしてしまう。
おそらく男の子にはわからない世界がここにはあるのだろう。
う〜ん、正直この本の面白さがわからない。
ただ、架空の野球部リーグのドタバタを描いているとしか思えなくて、そこに何の面白さも見出せない。
それだけ頭が固くなってるのかな?
「テス」で有名なハーディの短編集。とても面白かった。
物語としては落ち着いた雰囲気で全ての小説が皮肉な結末を迎えるのだが何故か惹かれる。1編1編にグイグイ引き込まれる。
個人的にはもちろんハッピーエンドが好きなのだが、ハーディの運命に翻弄される主人公たちがを見た時に世間とはそんなもの。白馬の王子は現実にはそうは現れないと思えるからか。
特に表題作「呪われた腕」と「幻想を追う女」はオカルト的な雰囲気もありとても面白かった。
翻訳も1968年の改訳版のようだが全く古さを感じなかった。
あえて野沢訳で読んでみた。もちろんこの訳が物議を醸したのは知っていたが、僕はフランス語が堪能でも学者でもないのですんなり読めた。
以前どこかでスタンダールの魅力は物語もさる事ながら流れるような文章だというのを読んだが、ちょっと前に読んだ「パルムの僧院」では全くその事は感じなかった。ただ、この野沢訳はリズムがあってとても読みやすい。
この訳はいろいろと批判を受けてはいるがスタンダールのそのような魅力を引き出す為にあえてこのような訳にしたのではないか。勘繰り過ぎ?
なぜジュリアン・ソレルに惹かれるのだろう?小市民階級にもかかわらず能力も教育もそして容姿も優れた存在である彼が上流社会に挑戦していく野心を持っているから?
あとは目まぐるしく変わる心理描写。特にジュリアンとマチルドはコロコロ変わっていくがそれが本当に人間ぽいって感じるのから?
物語は最終盤全く予期しない方向に行き正直驚いたが、そうなったら最後はあのような終わり方にしかならないんだろう。